2015

 ルツはしゅうとめに教えられたとおり、その夜、打ち場に出かけて行きました。 ボアズは食事をすますと、すっかり上機嫌で、積み重ねてある麦のそばにごろっと横になり眠ってしまいました。 この時とばかり、ルツはそっと忍び寄り、ボアズの足もとのおおいをまくって横になりました。

 真夜中に目を覚ましたボアズは、びっくりして跳び起きました。 なんと、足もとに女が寝ているではありませんか。

 「そこにいるのは、だれだっ!」

 「ルツでございます。 どうぞ、神様のおきてに従って私を妻にしてください。   あなた様はその権利がおありですわ。」

 「あんたのようにすばらしい女を下さった神様に感謝しよう。   こんなにまでしてナオミに仕えてくれているとはなあ。   まだまだ若いのだから、金のあるなしは別にして、   若い男に心をひかれても、不思議じゃない。 なのに、そんな気持ちは二の次にして、 〔わしと結婚してナオミのために世継ぎを残そうというんだね〕。 ルツさん、何も心配はいらないよ。 望みどおりにしてあげよう。 あんたがすばらしい女だってことは、だれもが知ってるんだからね。 ただ、一つだけ問題がある。 確かにわしは近い親戚には違いないが、 もっと近い親戚もいるからな。 とにかく今夜はここで休みなさい。 朝になったら、その人と話をつけることにしよう。 もしその人があんたを妻に迎えるというなら、それもよかろう。 義務を果たさせるまでだ。 だが、もし断わったら、わしが結婚しよう。 今ここで、はっきり神様に誓うよ。 だから安心して、朝までここでお休み。」

  こうして、ルツは言われたとおりボアズの足もとに寝ましたが、夜明け前に起き上がりました。   ボアズが、「この打ち場に来たことをだれにも知られないように」と注意したからです。

  「肩かけを持っておいで。」 ボアズはそう言うと、大麦を二十一リットルほど   その中へ入れ、しゅうとめへのみやげにと背負わせてくれました。 こうしてルツは町へ帰りました。

ルツ記3章より

ボアズとルツ

 
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