2005.2

「もう二度と会うこともないでしょう。」
アディーナは意地になってかたくなに歩いていく。アルフレドはアディーナの背中をずっと見ていた。静かな雨だけが二人を隔てている。だいぶたったとき、その背中に声がかかった。
「アディーナ」
ぴくりと足を止めるアディーナ。本当は呼びとめてほしかったのだ。
アルフレドは優しく微笑んだ。
「また会えるさ、きっと。」
さわやかな声。
「・・・・・・!」
アディーナは振り向きたかったが、振り向くことが出来なかった。

(ロミオの青い空脚本集[下]より)

アディーナの心

 
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